メンタルヘルスのリカバリーに関する価値と倫理
「メンタルヘルスのリカバリーとWRAP」に取り組むにあたって、次にような価値と倫理を理解し支持することが不可欠です。もしこれらの価値と倫理に同意したくない、あるいは同意することができないという方は、ファシリテーターとしてクラスの進行に関わらないでください。
ファシリテーターとしてあなたがすべきことは、
一人一人の尊厳を尊重し、思いやりの気持ちを持ち、敬意と無条件の尊敬を持って、参加者と接すること。
答をだすのではなく、各自に選択する自由と選択肢を提示すること。
この取り組みでは、参加者は自分自身の経験と他の人の経験から学びます。この取り組みは:
大きなエゴ、“権力顕示”、思い上がり、偏見、憎しみが入り込む余地はありません。どのようなつらさを抱えていて、どのような状況におかれているとしても、誰もがその場に属しています。あらかじめ定められた結果があるわけではありません。自分自身のゴールを目指して、それぞれがそれぞれのベースで取り組みます。
政治的な議題は取り扱いません。(政治的な議論をするには、他により適切な場があるでしょう。)
性的行動に関する厳格な行動基準に常に従ってください。ファシリテーターとして性的な誘い、ハラスメント、差別と受け取られるような行動は控えてください。グループやあなたが行うプレゼンテーションの場でそのような行動をとる人がいたら、そのような行動は容認できないものだということを伝えてください。このことについて問題が生じた場合、サポートと役に立つガイダンスを与えてくれ、信頼できる人と話し合ってください。
参加者が安全だと感じ安心でき、尊敬の念に満ちた雰囲気を保証するために最大限の努力をしてください。
「メンタルヘルスのリカバリーとWRAP」に関する価値と倫理のチェックリスト
ゆるぎない価値と倫理が、メアリーエレン コープランドの取り組みとコープランドセンターのトレーニングの土台になっています。「メンタルヘルスのリカバリーとWRAP」のクラスやワークショップの進行を始める前に、ファシリテーターはこれらの価値と倫理を理解していてください。またクラスを進行しているときに、時々、振り返ってみることも大切です。もし価値や倫理が守られていない様子が見られたときには、ファシリテーターはこれらの価値や倫理が守られるように必要な修正を行ってください。ファシリテーターは、このチェックリストのコピーを参加者に配布し、クラスの進行が価値と倫理にそっているかをときどき確認するようにしてください。価値や倫理が守られていないと感じたときには、修正すべき点を提案してもらうように参加者に伝えましょう。
希望があり、人々は元気になり、いつまでも元気であり続けることができ、自分の望むような生き方をすることができるのだということを各セッションで伝える。
指標:
希望の感覚を持っている、あるいは希望を持ち始めていることが参加者の発言から感じられる。
参加者から、将来の夢や希望、これからどうしたいか、自分のためにしていることなど、元気な自分を思い描いた発言がきかれる。
自分で決めること、自分で責任をもつこと、自らの力を認識し伸ばすこと、自分の
ためにアドボカシー(権利擁護)することが、このプログラムで大切にされていることです。
指標:
どのようにして自分の望むような生活をしているかあるいは、それができるようになったのかについて、参加者が共有する。
すべての話題において、自分の意志で行うこと、自らの力を認識し伸ばすこと、自分のために権利擁護することに焦点があたっている。
このプログラムはワークショップの参加者による意思決定と個人の体験の共有をサポートする。
指標:
参加者がどの話題を取り扱うかを決定することで、ワークショップにおける意思決定が行われる。
時間と取り扱っている内容の許す範囲で、個人の体験を話すことは奨励され、支持されている。
一人一人の尊厳を尊重し、思いやりの気持ちを持ち、相互の敬意、無条件の尊敬をもって参加者と対等に接する。
指標:
参加者は安心し気を許しているように見える。
ファシリテーターは、一人一人の尊厳を尊重し、思いやりの気持ちを持ち、相互の敬意、無条件の尊敬をもって、対等な人として参加者一人一人と接している。
各自がありのままに、ユニークで、特別な人として無条件に受け入れられる。文化、民族、言語、宗教、人種、性別、年齢、障害、性的嗜好性、“準備ができている段階”に関する多様性を受け入れる。
指標:
参加者への対応が適切になされていると感じているか?ニーズに対応してもらっていると感じているか?このプログラムは多様性をサポートしていると感じているか?について参加者に確認する。
差別的な発言が見られない。
ファシリテーターは参加者のニーズにあわせて調整をしたり便宜をはかっている。
このプログラムはリカバリーに際限はないという見方に基づいている。
指標:
すべての参加者のゴールや計画は、達成可能かどうかなどの判断をされることなく支持されている。
参加者には選択の自由といろいろな選択肢を捜し求める機会が与えられていて、単に最終的な答えをだすことを期待されているのではない。
指標:
選択の自由といろいろな選択肢があることを支持する雰囲気ができている。
すべてのことがらについて、参加は自由意志に基づく。
指標:
実際に、すべてのことがらについて、自分の意思で参加している。
それぞれが自分についてのエキスパート(専門家)であることが理解されている。
指標:
参加者が自分の経験から発言し、自分についての知識に基づいて意思決定をすることが支持されている。
その人の持っている力に焦点があてられ、欠点と思われる点に干渉しない。
指標:
人々がうまくやっていることに焦点があてられ、否定的な評価や欠点に基づいた評価をしていない。
臨床的、医学的、診断用語を避ける。
指標:
臨床的、医学的、診断用語を使っていない。
相互の理解と知識を深めさらに元気になるために、ピアとして取り組み、お互いから学ぶことに焦点があてられる。
指標:
参加型のエクササイズを取り入れている。
このプログラムは、誰にとっても簡単で安全な方法に焦点があてられ、危害を及ぼすかもしれない方法は避けるようにする。
指標:
どの方法が簡単で安全であるかについて、参加者とファシリテーターが同意しており、害になる副作用があるかもしれない方法についての議論がでたときには、ファシリテーターはこれらのトピックについて情報を得られる資源を参加者に示し、その場で議論することは避けるようにする。
困難な感情や行動はトラウマとなる状況への普通の反応とみなし、それが起きている状況のなかで理解され、症状や診断名としてみなさない。
指標:
ファシリテーターは困難な感情や行動に対して、深い同情とサポートをもって対応する。
各セッションで作ったり、そこに持ってきた創作作品や表現はすべて無条件で受け入れられる。それには動き、音、絵、線描画、コラージュ、立体構造物を含む。それを作った人が常に作品についての決定権をもっている。
指標:
ファシリテーターは自分なりの見方で創作作品にコメントをし、参加者にも同じようにすることを奨励する。
各セッションでそれを作った人やワークショップの参加者が、作ったものをどうするかについて決定する。