Mary Ellen Copeland

 

WRAPと出会い、そしてWRAPファシリテーター研修を受けて

 

二星 りさ

 

WRAPとの出会いは、日本で初めて久留米で開催されたWRAPファシリテーター研修のお手伝いに参加したことがきっかけでした。その時、WRAPというものが何かわからず、インターネットで「ラップ」と検索しても出てこない、「ラップ」が何の略かもわからない、でもなんか「ラップ」というものを受けると元気になるらしい・・・という情報だけで、研修のお手伝いに参加しました。WRAPに触れたときに受けた衝撃は、今でも忘れることが出来ません。そして、この経験は私の人生に大きな影響を与えたといっても過言ではありません。

WRAPに触れ、WRAPという空間にいることで、ありのままの自分でいても大丈夫なんだという安心感と自分が尊重されているという感覚を初めて体験する事ができました。それまでの私は、人にいいところを見せないといけないとか、失敗は出来ないとか、人からの評価ばかりを気にしていました。自分の存在価値は人の評価から成るものだと思うと同時に、人に対してとても防衛的な人間でした。WRAPが作り出す世界は、自分がその場にいて安心していることが出来る、そしてありのままの自分でいることの心地よさを体感させてもらえた貴重な、そして大切な時間でした。あの感覚が忘れられず、今までWRAPを大切にし続けることが出来たのだと思います。

そして、今年の5月、待ちに待った、恋焦がれたWRAPファシリテーター研修を名古屋で受けることが出来ました。WRAPの奥深さや世界観について、数え切れないくらい多くの学びや気づきがありました。研修に参加したことで、あたりまえだと思っていた自分のものの見方や社会常識などが、本当にあたりまえなのか、自問自答させられる日々でした。また、自分の人生について真剣に考えさせられる機会となりました。

ファシリテーター研修で特に印象に残っているのは、「学ぶ機会を奪わない」ということでした。私が大切に思っている価値観や信念、正しいと思う事などは、他の人とは違うかもしれませんし、チャレンジしたいことは違うかもしれません。自分が体験したことは、体験談として話をしたり、共有することはお互いの経験から学ぶという意味ではとても重要なことです。しかし、アドバイスは役に立たないことを学びました。その人を人として尊重し、その人自身が自分に責任をもつことができる、そしてリカバリーできることを信じていれば、アドバイスが何の役にも立たないことに気づきます。誰もが、自分で学ぶ力をもっているのですから!!WRAPファシリテーターは、安心して学ぶことが出来るための環境に配慮することが必要です。それしか出来ないのだということも、それがいかに難しいことかも・・・WRAPファシリテーターとして常に心に留めておく必要があるのだと学びました。これは、ファシリテーターとしてだけでなく、人生において、親子関係や友人関係、などにも十分言えることだと思います。「学ぶ機会を奪わない」ということは、私自身にとっても、常に学び続け、自分の人生において自分に責任を持ち、成長していくための「自己権利擁護」の一つであると思います。私は、私自身が安心して学ぶ環境を獲得するために、リカバリーの要素である「自己権利擁護」をしながら、学び続けていきたいと思っています。

それから、ファシリテーター研修を受けていて、本当に辛い体験だったのは、「自己紹介」をすることでした。私は、「自己紹介」が苦痛で一番の悩みでした。私の人生は、精神的な困難を経験した人と比べると、人生において何も意味のある人生を送っていないのではないか・・・と思っていました。こんな私が、WRAPで精神的な困難を経験している人たちと、本当の意味での共感や共有が出来るのか・・・。困難を経験していない私が、ファシリテーターになってもいいのか、研修を受ける前も受けている間も迷いがありました。  

自己紹介の原稿を作成するために自分の人生を振り返ってみると、自分が一人で生きてきたように思っていたのか、自分がここに存在しているのは、常に私を信じてサポートし続けてくれた人たちがいたということに気づかなかったのか、とても恥ずかしくなり涙がとまりませんでした。何も意味のある人生を送ってこなかったと思っていたことが、自分の人生を現実に直視してみると、つらかったことを克服できていなかったことに気づかされたり、これからの人生をどのように生きていけばよいのか、とても考えさせられて、現実を突きつけられる辛いけど価値のある体験でした。私は、ファシリテーター研修で自分の人生に初めて向き合ったように思います。自分の人生や自分のことを真剣に向き合うということは、簡単なことではありません。だからこそ、自分について真剣に見つめることで、リカバリーを目指すことに意味があり、自分の人生に自分で責任をもち、希望をもつことが出来るのではないかと思っています。

WRAPファシリテーター研修を受けてから、自分自身の世界観の変化に戸惑いました。研修から帰って誰とこの気持ちを共有すればいいのだろう・・と。通常の生活に戻っても、自分だけが違う世界にいるのではないかという思いが消えませんでした。そして、今、自分がやらなくてはいけないこと、そして人生について、とても深い悩みの中に沈んでいるような気分です。これもひとつの乗り越えなくてはいけないことだと思い、深い悩みの中でもがき苦しむ自分も、それはそれでいいかと思っています。深い悩みの中で苦しんでいる自分を受け入れられるのは、自分を信じてくれる人がいることを知っているから、また、私は私についてのエキスパートだから・・・。そして、私は自分のWRAPを持っているし、私を支えてくれる仲間がいるから。

WRAPを通して同じ“元気な世界観をもつ”仲間に出会えました。それは、精神的な困難を経験してきたというだけでなく、それぞれの人生において様々なことを乗り越え、今こうしてこの場に存在する本当に強くて素敵な仲間です。常に会える距離にはいませんが、この仲間は、元気であり続けることが出来るための工夫をたくさん持っています。それぞれにリカバリーのストーリーがあり、リカバリーを信じている仲間です。それは、自分だけでなく、誰もがリカバリーが出来ること疑いなく信じることができる仲間です。私は、その仲間から、リカバリーは誰でも出来ること、元気でいるための工夫、人として付き合えることの心地よさやすばらしさを学びました。一緒に何かを楽しんだり、悩みを相談したりするのに、精神的な困難を経験したことなどは、人として付き合う上で関係がないのだということを気づかせてくれました。そして、私が元気であり続けるためのサポーターでもあります。

最後に、WRAPに出会う機会を与えてくれた職場の上司、久留米でのWRAPファシリテーター研修のお手伝いとして私を受け入れてくださった皆様、ファシリテーター研修の受講のチャンスを与えてくださったスティーブンさん、久野さん、名古屋の関係者の皆様、そしてWRAPを通して知り合うことが出来た「元気な世界観」をもつ多くの仲間に本当に感謝しています。そして、精神的・金銭的に応援してくれている両親・・・。今まで自分が生きてきたことに関わり、私をサポートしてくださった皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。そして、メアリー・エレン・コープランドさんにも感謝です!!今後、WRAPを通して、この「元気な世界観」をもつ仲間とつながっていること、そして同じ「元気な世界観」をもつ仲間を増やしていくことが、私の希望でもあり、私がリカバリーに向かっていることが実感できるものであると確信しています。

 

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