「WRAPを含むメンタルヘルスのリカバリー」プログラムについて
メアリーエレン コープランド、Ph.D.
プログラムの概要
プレゼンターの紹介
メアリーエレン コープランドは著作家、教育者、精神医療・福祉の権利擁護者です。彼女は精神的な困難に自ら対処する方法について探索してきました。彼女の業績は精神的な症状を経験した人たちを対象にした全国規模の調査と、彼女自身の躁うつとの苦闘―そして完全に無力だったときの状態から豊かで充実した生活を楽しむようになるまでの経験に基づいています。
活動内容の要約
精神的な困難を経験したとしても、それによって、ゴールを達成するために努力することやゴールの達成を妨げるような、慢性的な障害をもって生きるしかないという宣告を受けたとは思わなくなっています。他の治療方法を補う自分でできる技法や方法を用いて、自らが望むような元気と安定、リカバリーを達成することができています。Copeland Center for Wellness and Recoveryやリカバリーの過程をともに歩む多数のファシリテーターたちが、自分でできるリカバリーの方法についての著作を出版したり、セミナー、ワークショップ、講演、サポートグループやインターネットを通して、リカバリーの情報を全米中でネットワークしています。
ゴール
「メンタルヘルスのリカバリーとWRAP」は、精神面の困難からのリカバリーとそれに自分で対処するための手法や方法を参加者と共に学ぶことを目指しています。それによって次のようなことが可能になります。
目的
講義、実演、参加型の討論や課題にあわせた活動を取り入れたワークショップの形態を用い、次のような話題を扱います。
リカバリー・自分でできる方法に焦点をあてることによって得られる長期的な結果
WRAPは精神保健福祉の対応を“症状のコントロール”から予防とリカバリーに向けることを促します。その結果、費用のかかる精神保健サービスや緊急サービスを受ける必要が大幅に減少します。それは精神面の困難を経験する人たちが、自分でできるさまざまな工夫を用いて、自分の健康管理を効果的に行うことに責任を持ち、家族、友人、医療・保健・福祉関係者からのサポートに手を伸ばし利用するようになるからです。そして地域社会の一員として貢献することにより、人生がはるかに充実し、自分を尊ぶ感情が生まれ、自信が得られます。
ニューハンプシャーのプログラム
上で述べたような概要に基づいたリカバリープログラムがニューハンプシャー州の10地区で8日間それぞれ開催されました。セミナーでは講義、参加型討論、体験的に理解を深めるための課題活動と各自のリカバリー資源の実践的な開発が盛り込まれていました。各セミナーには、精神症状を経験する人たち、家族、精神保健のサービス従事者が参加しました。セミナーの後、それぞれの地域に戻って、実践することが難しい技法や方策をグループで学ぶために4日間の研修を行いました。
5つの地区でセミナーが終わった時点で、ファシリテーターになるための5日間の研修プログラムに参加して、リカバリーの技法を教える方法を学びたいという人たちが40人にのぼりました。この人たちは、現在では、州の精神保健局から報酬を受けて、それぞれの地区でこのようなセミナーを開催し、地域全体にリカバリーの情報をネットワークさせる活動に携わっています。彼らの活動は州の当事者関係課からのサポートを受けています。研修マニュアル“精神症状に対処する”を手引きとして使っています。
バーモント州のプログラム
バーモント州のリカバリープログラムはニューハンプシャーのプログラムをモデルにしています。8日間のリカバリープログラムが州の3地域で開催されました。セミナー終了後、それぞれの地域から参加したグループはプレゼンターによる2日間の問題解決セッションに参加しました。ファシリテーターになるための研修プログラムがバーモントで2回開催され、現在までに30人以上のファシリテーターがリカバリーの技法と方策を教えています。
このプログラムは、バーモントの精神的困難からのサバイバーの会を通して、この情報を継続的にネットワークさせる目的で、Van Ameringen Foundationから助成を受けてきました。コーディネーターが採用され、ファシリテーターは州の各地で行われるセミナーを進行することに対して報酬を受けています。
その他のトレーニングプログラム
ニューハンプシャーとバーモントのプログラムは現在ではケンタッキー州、オクラホマ州、カンザス州など多くの地域に広がっています。その他の州でも同様のセミナーを開催する計画が進行中です。また全国から50人のファシリテーターが、ファシリテーターになるための研修プログラムに参加し、病院、精神保健センター、地域のサポートセンター、ピアサポートセンター、サポートグループや地域のフォーラムなどで活動しています。
メンタルヘルスのリカバリーセミナー
バーモント州のBrattleboroで、メアリーエレン コープランドとスタッフによる5日間の集中セミナーが年に数回開催されています。「メンタルヘルスのリカバリーセミナーI:WRAPを含むメンタルヘルスのリカバリーを学ぶ」と、「メンタルヘルスのリカバリーセミナーII:ファシリテーターになるための研修プログラム」の2種類があります。セミナーIは、精神症状を経験する人たち、家族やサポーター、医療サービス従事者を対象にしてます。セミナーIIは、セミナーIを修了した人、または4週間の通信コースを修了した人を対象にしています。これらのセミナーは、ネットワーキングをすすめる集中的で支持的な環境において、全国から集まったさまざまな背景をもつ人たちに情報を伝えることを目的にしています。このような多様な参加者が、お互いから学び、お互いにサポートし合うことで、このプログラムはより豊かなものになっています。
リカバリーワークショップの基本型
リカバリーに大切なこと
リカバリーに効果的に取り組むことに欠かせない5つのことがあります。それは:
まずはじめに
リカバリーに向かうとき、自分のためにするべきことが2つあります。
1.質の良い医療をうけること。最低年に一回と症状が変化したり悪化したりしたときにはいつでも、症状の原因となったり悪化をひきおこしているような身体的な問題がないかどうかを調べるために包括的な健康診断を受けましょう。
診察の際に次のようなリストを持って行くことをおすすめします。
2.薬について慎重に管理すること。どのように効くのか、期待される効果は何か、出る可能性のある副作用は何か、薬によって制限される食事や生活上の事柄は何かなど、あなたが服薬している薬について学んでください。
WRAP™について
注意深く観察することで、元気でいるために毎日しなければならないことは何か、調子を崩すきっかけとなるような出来事は何か、調子がよくないことを知らせる注意サインは何か、調子が悪くなっていることを示すサインは何かを発見することができるでしょう。そのような気づきを得て、自分で見つけた元気に役立つ道具を用いて、あなた自身の元気に役立つ行動プランを作ります。元気でいることが多くなり、リカバリーをすすめることができるようになるでしょう。WRAPには次のような事柄のリストが含まれます。
元気に役立つ道具箱
症状を軽減し元気を保つために、次のような元気に役立つ道具をWRAPのプランのなかで使うことができます。
クライシスプラン
症状がとても重く危険な状態になり、あなたの身に回りのことについて、誰かに責任をゆだねなければならなくなったときのためのクライシスプランを作っておきましょう。クライシスプランに含まれるものは:
必要なときにすぐ取り出せるように完成したクライシスプランをサポーターに渡しておきましょう。必要に応じて書き換えてください。
トラウマの問題に対処する
過去に起きたトラウマとなるような出来事によって症状が引き起こされたり悪化したりすると感じるようであれば、次のようなことをしてくれるプログラムを探してみてください。
自殺予防
うつや躁うつの診断を受けた人の15%が自殺によって命を絶っています。あなたがそのうちのひとりとならないように、次のようなことを行ってください。
元気な暮らし方
次のようなことから、元気をサポートする暮らし方を作りましょう。
最後に
病気の特質として意欲がわかない傾向があり、また努力したことの結果が出るまでに時間がかかるかもしれないことから、私たちの多くはリカバリーのために努力する気がおきないと感じていることがあります。ワークショップのなかで学び情報を共有することには大きな利点があります。参加した人たちはそこで所属感と希望の感覚を得て、自分自身のリカバリーのための努力をするとき、または他の人々がリカバリーに向かう手助けするときに必要なサポートをワークショップの場で得ることができます。