Mary Ellen Copeland

私たちにとってリカバリーが意味すること

シェリー ミード(ソーシャルワーク修士)

メアリーエレン コープランド (社会学・文学修士)

著作権2000、Plenum Publishing, New York, NY

 

 

精神症状の経験との関連でリカバリーの概念が使われるようになったのは、つい最近のことです。私たちのように精神症状を経験する人は、これらの症状は治らないと聞かされてきました。残りの人生を症状と共に生きなければならないだろうし、もし、適切な薬か薬の組み合わせを見つけてもらえれば、薬が効くかもしれないけれども、ずっと薬を飲み続けなければならないだろうといわれてきました。これらの症状は年をへて悪化するとさえ言われた人も多くいます。リカバリーについては何も聞かされませんでした。希望についても何も。私たちが元気になるために自分でできることについても全く何も。エンパワーメントについても。元気についても。

 

メアリーエレンはこう語ります。

 

私が37歳で躁うつ病であると初めて診断されたとき、薬さえ飲んでいれば、一生のみ続けなればならないけれども、大丈夫だといわれました。そして、私はその後10年間、ウイルス性腹痛によって重症なリチウム毒性が引き起こされるまで“大丈夫”でした。その後、私は薬を飲むことができなくなりました。薬を飲み続けていた間、どうしたら自分の気分にうまく対処することができるかを学ぶことができていたはずです。リラクゼーションとストレス軽減技法や楽しめることをすることが症状を和らげることを学んでいてもよかったはずです。もし、私の生活がそんなに忙しくて混乱していなければ、虐待的な夫と暮らしていなければ、私のことを肯定し認めてくれる人ともっと多くの時間をすごしていれば、元気でいられただろうし、このような症状を経験している人たちからのサポートが助けになるということを学んでいてもよかったはずです。どのようにしたら厄介な感情や感じ方を楽にし、和らげ、取り除くことさえできるのかを学べるのだということは、誰も教えてくれませんでした。多分、もし私がこれらのことを学び、このような症状を切り抜けてきた人たちと出会っていれば、医者が熱心に効果的な薬を探している間、幻聴をともなうような激しい感情の起伏を、何週間、何ヶ月、何年にもわたって経験することはなかったかもしれません。

 

今、時代は変わりました。私たちのように、これらの症状を経験する人たちは、情報を交換し、これらの症状のために夢や自分のゴールをあきらめなければならないことはないし、これらの症状は際限なく続くものではないということをお互いから学んでいます。私たちは自分が自分の人生の責任者であり、前向きに進み、自分のやりたいことをできるのだということを学んできました。もっとも重い精神症状を経験した人たちが、いろいろな専門の医師、弁護士、教師、会計士、権利擁護運動家、ソーシャルワーカーであったりします。私たちは、親密な関係をうまく築き維持しています。パートナー、両親、兄弟、友達、同僚たちと暖かい関係を作っています。山登りをするし、園芸をしたり、絵を描き、本を書き、キルトを作り、この世界に好ましい変化をもたらしています。そして、すべての人に対するこの展望と信念をもったときにはじめて、すべての人に希望をもたらすことができるのす。

 

医療・保健・福祉専門職からのサポート

 

医療・保健・福祉専門職は、私たちがこのような道すじを進むのを援助することを、時にためらうことがあります。どうせ失敗することをやろうとしていると思うのです。しかし、私たちが精神医療システムから離れ、自分の望む人生に戻って行くことに対して、多くの人たちが価値のある援助とサポートを提供してくれるようになっています。最近、私(メアリーエレン)は、いろいろな職種の医療・保健・福祉専門職と大規模な地域精神保健センターを一日訪問する機会がありました。そこでリカバリーという言葉を繰り返し耳にすることは、とてもわくわくすることでした。その人たちが語っていたのは、彼らが援助する人たちが学ぶこと、困難な状況のときに一時的な援助とサポートを必要とされている限り提供すること、自分の健康に対して責任をとることを援助すること、症状や問題に対処するためのいろいろな選択肢を探り、愛する人たちと地域で暮らすように送り出すことでした。

 

これらの献身的な医療・保健・福祉専門職が何度も繰り返し使っていた言葉は“ノーマライズ(特別なこととしない)”と言う言葉でした。彼らは、これらの症状は常軌を逸脱しているというよりは普通のことの延長線上にあり、これらの症状は誰もが多かれ少なかれ経験していることなのだということを、自分たちが理解し、援助を受けている人たちにもそのように理解してもらうように、心がけていました。身体的な原因にせよ、生活上のストレスのせいにしろ、たえ切れないほどひどくなったときには、それらを軽減し和らげるために一緒に努力することができるということです。症状がひどく危険な状態になるクライシスに対処するための、できるだけトラウマにならない方法について話し合っています。それらは、一時療養センターや、ゲストホーム、このような困難な状況を家で過ごすことが出来るようにするための支援方法、不安な精神病院での対応ではなく、地域の中で対処することができるような方法についてです。

 

リカバリーの筋書きの大切な要因は何か?

 

1.希望があるということ。限りない希望の展望です。「こんな症状があったのだから、こんな症状があるのだから、そんなことは出来るはずがない」と誰かに言われたとしても、私たちはそれが正しくないことを知っています。自分が壊れやすく、コントロールを失っていると感じ、それを信じているときにのみ、先に進むことが難しいと思うのです。精神症状を経験する私たちは、元気になることができるし、実際、元気になっています。私(メアリーエレン)は希望について母から学びました。彼女の狂気は治療不可能だと言われていました。幻聴をともなう激しい感情の起伏を8年間継続して経験していました。そして、それらは消えたのです。学校の給食プログラムの栄養士としてとてもよい仕事をし、私の兄弟が片親として7人の子供を育てる手助けをしながら退職後をすごし、多くの教会や地域組織のボランティアをしているうちに。

 

症状がたどる道筋についての、ひどい予測は必要ありません。それは、どんな資格を持った人であろうとも知ることが出来ないことです。私たちはこれらの症状を取り除き、生活を楽しむための努力をするときに、援助と激励とサポートが必要なのです。人から世話を受けなければならないニーズがあると感じさせることのない、思いやりのある環境が必要なのです。

 

全く希望がない病気の犠牲者だ、一方通行で子ども扱いされているような関係しか期待することが出来ない、というメッセージを信じこんでいる人があまりに多いようです。リカバリーに焦点をあてているコミュニティやサービスに出会うと、お互いに対等でお互いにサポートしあう関係へと変化し始めます。援助を提供することができ、受け取ることができるということで、自分に価値があると感じはじめると、今まで思い込んでいた自分の枠が大きく広がります。お互いに新たな行動を試して見ます。前向きなリスクをとってみることが出来るようになります。今まで信じさせらてきたことよりも、もっと自分についてよく知っているし、もっと提供できるものを持っているのだということを発見します。

 

2.自分が元気でいるために、自ら責任を取ることはあなた次第です。私たちのために誰がしてくれるわけではありません。助けを求めている姿勢から、自分自身や関係を癒すために自ら努力している姿勢へと変化するにつれ、リカバリーが急速に進みます。

 

症状が重く続いているとき、自ら責任を取ることはとても難しいことです。このような場合に最も役に立つことは、医療・保健・福祉専門職とサポーターが私たちとともに、このような脅かされる状況から抜け出すための、とても小さなステップを見つけて歩みだすことができるように助けてくれることです。

 

3.この道のりは学ぶことを伴っていなければなりません。自分にとって何が役立つのか、自分のために必要なステップは何なのかを見つけるための情報源を探します。この学びの過程で、医療・保健・福祉専門職に大切な役割を果たしてもらいたいと思っています。例えば、役に立つ資源に導いてくれる、教育的なワークショップやセミナーを催す、情報を理解する手助けをしてくれる、私たちの望みと信念に共鳴する講座を見つける手助けをしてくれるなどのことです。

 

4.自分の望むこと、必要なこと、受け取って当然なことを獲得するために、私たちはそれぞれが自分のためにアドボカシー(権利擁護)をしなければなりません。精神症状を経験する人たちは、個人としての権利を失ってしまったと、誤って信じていることがよくあります。そのため、しばし私たちの権利は侵害され、このような権利の侵害が見逃され続けています。慢性的に不安定な状態が続いたことによって傷ついた自尊感情を取り戻すにつれて、自分のために権利擁護することは、はるかにやりやすくなります。また、私たちは他の人と同様の知性があり、価値がありユニークで、世界に貢献できる特別な才能を持っていて、人生が提供できる最もすばらしいものを受け取るに値するのだと理解すると、自分のために権利擁護することが、もっとやりやすくなります。また、自分たちのニーズを満たすために手をさし出すとき、医療・保健・福祉専門職、家族、サポーターから支持されていると、自分のために権利擁護することはとてもやりやすくなります。

 

人は誰でも、前向きなリスクをとることを通して成長します。私たちは、次のことをするときにサポートしてくれる人を必要としています。

 

 

5.相互的な関係とサポートは元気になるための必要条件です。ピアサポートへの関心が全国的に広がっていることは、リカバリーに向かい努力するときに、サポートがいかに大切であるかについての認識の現れです。ニューハンプシャーでは、症状が最も重いときでさえも、安全と安心を感じることの出来る安全な場所をピアサポートセンターが提供しています。

 

さらにピアサポートでは、人々の能力と限界について、あるとしてもごく限られた前提しかもっていません。分類をせず、階層的な関係(例えば、医者と患者)もなく、その結果、人々は自分だけに関心をよせていたのが、お互いに新しいことを試してみることに取り組み、コミュニティーをつくっていくという、より大きなプロセスに力を注ぐことへと進んでいきます。ニューハンプシャーのクレアモントにあるステッピングストーン・ピアサポートセンターのクライシス一時療養センターでは、この考え方をさらに一歩推し進めて、安全で支持的な環境においてピアサポートと学ぶ機会を24時間体制で提供しています。コントロールを失って病気とみなされるのではなく、クライシスをどうしたら成長と変化の機会にすることができるかをお互いに学ぶことを助けます。例えば、メンバーの一人が多くの困難な考えを抱えながら、入院を避けるためにやってきました。彼のゴールは、判断されたり、分類されたり、薬を増やすように言わることなく、彼の考えを話すことでした。数日後彼は、より落ち着いた気分で家に帰り、関わりの持てる人たちとわかりあうことができました。彼は一時療養プログラムで築いた人間関係を維持し広げていくことに力を注いでいます。

 

サポートグループを利用し成長するにしたがって、それ自体が変化し続けるコミュニティーを作り上げていくことで、多くの人は自分がどんな人なのかについての認識が拡大することに気がつきます。人々は成長するにつれ、人生の他の領域に関心を広げていきます。

 

リカバリーに基づいた環境においては、サポートは松葉杖ではないし、人からアウトカムを定義され命令されることはありません。相互サポートのプロセスでは、その関係を利用し、より充実し豊かな人になることへと努力します。わたしたち誰でも、何らかの前提を関係のなかに持ち込みますが、サポートはお互いが成長し変化する気持ちがあるときに最大限の力を発揮します。

 

この相互的で適切なサポートへのニーズは、臨床的な世界にもあてはまります。臨床関係は決して本当の意味で相互的ではないし、いくつかの前提条件を取り除くことはできないかもしれません。しかし、過去に経験したような、子ども扱いをする関係から離れ、お互いの役割を変える努力をすることはできるはずです。そのために医療・保健・福祉専門職が自分に問いかけてほしいことを以下に示しました。

 

 

サポートは誠実さと、何が助けになり支持的なのかについて自分が持っている思い込みを再検証する気持ちから始まります。サポートは、臨床家が誰かを“手のひらの上に乗せる”とともに、その人が自分の行動に100%責任をもち、彼らが変化する力を持っている(自分をモニターする内省の方法を持っている)と信じることを意味します。

 

誰にとっても、望みがないなどということはありません。誰でも選択する能力を持っています。従来は、医療・保健・福祉専門職が治療と予後を判断するように要求されてきました。そうするとき、学習した無力感、長期入院、困難な行動などの覆いの層を取り除いて見てください。そうすることによって、希望、挑戦、責任を果たすこと、相互的な人間関係、常に変化する自己認識に形作られた新たな人生を再構築することを、発想豊かに手助けし始めることができるのです。

 

私たちのサポートシステムの一部として、医療・保健・福祉専門職は、常に変化にたいする自分自身の障壁に目を向け、どこで行き詰まり、依存的になるのかを理解し、自分自身のあまり健康的でない対処方法に注意を向けていなれけばなりません。医療・保健・福祉専門職には、自分たちも苦労していることがあり、変化することはだれにとっても大変なことなのだと認識し、私たちと共感する言葉を持つことが求められています。私たちがもっている“回復”することへの意欲に目をむけ、自分と自分が援助している人たちとの間に大きな違いがあるという神話をすてることが必要です。そうすることで、サポートが真に双方向の現象になり、自分自身にチャレンジすることにおいて、お互いにサポートされていると感じるような関係の枠組みができます。変化したいという思いは人間関係を通じて育てられます。他人が立てたプランに指示されて、起きるものではありません。その結果、はなればなれで人と異なり孤立しているという感覚を持ち続けることがなくなるのです。

 

医療・保健・福祉専門職は学習された無力感にどのように対処することができるだろうか

 

臨床家は私たちにたびたび次のような質問をします。「リカバリーに興味がなく、ピアサポートやそのほかのリカバリーにとって大切な事柄に関心を示さない人についてはどうしますか?」私たちが忘れがちなことは、たいていの人は変化することを望まないということです。変化することは大変なことなのです!病気、犠牲者、こわれやすい、依存的、さらには不幸せであるという自己認識と役割に慣れてしまっているのです。病気であることを“受容”し、他人にコントロールされ、生活のあり方に我慢することをずっと昔に学んだのです。病気と診断されていない人で、このような生き方をしている人がどれ程いるだろうか考えてみてください。変化するために努力し、もしかしたら達成できないかもしれない希望をもつことよりも、たとえそれが痛みを伴うものであっても、慣れ親しんだ安全の中で暮らすことのほうがたやすいのです。

 

今まで臨床家は、何が必要でどうしたいのかを聞きさえすれば即座に答えが返ってきて、しかも、その人は自分のやり方を変える意志があるだろうと思い込む間違いをしてきました。精神医療に長年かかってきた人は、この世界での存在のあり方を、特に専門職との関係のあり方を身につけ、そこでは患者としての自己定義が最も重要な役割になっているのです。

 

制限を押し付けられ、奥深くしまいこまれた内なる力を引き出すためには、信頼を強くし、どんな人になりたいのかを再定義し、誰かに計算されたものではないリスクをとる過程でサポートされていると感じることが、唯一の望みです。自分がどんなふうになりたいかについて思いつくことが、自分の“病気”について知っていることに基づいているか質問してもらう必要があります。新しいリスクに臨み、自分自身の壊れやすさや限界についての思い込みを変えるために、どんなサポートを必要としているのかきいてもらう必要があります。最も親しい友人やサポーターが変化しようとしているのを目にするとき、自分でも徐々に変化しようと試み始めます。たとえそれが、冷凍食品ではなくて夕食のための食材を買うというようなことであっても、自分とは何かという感覚を再構築するためのステップを踏んでいくときに、十分にサポートされていて、成長し続けることを求められている必要があります。

 

リカバリーは個人の選択です。医療・保健・福祉専門職にとって、リカバリーを促進させようと努力しているときに、抵抗や無関心に出会うことはとてもやりにくいことです。その人がもっている、あるいは専門職から受けるサポートの質と量に加えて、症状の重さ、やる気、人柄、情報の得やすさ、生活の変化よりも現状維持のほうが利益があると思うこと(時には障害年金の受給を続けること)などのすべてが、リカバリーに向かって進む力と関係しています。特にこれらの新しい選択と見通しに直面したときに、とても集中的に努力することを選ぶ人もいるでしょう。もっとゆっくりしたやり方を選ぶこともあります。いつ前進するのかを決めるのは専門職ではありません。本人次第なのです。

 

もっとも頻繁に使われているリカバリーの技法と方法はどんなものがあるのか?

 

幅広い継続的な研究を通して、メアリーエレン コープランドは、精神症状を経験する人たちが、症状を和らげ取り除くために次のような技法と方法を使っていることが多いことを知りました。

 

 

リカバリーのセルフヘルプグループでは、症状を経験している人たちが一緒に、このような症状の意味を再定義し、過去に役に立った、これからも役に立つであろう技法、方法、技能を発見するために努力しています。

 

リカバリーの筋書きのなかで、薬の果たす役割は何か?

 

もっとも困難な症状を和らげることに薬が助けになると感じている人が多いようです。過去には薬が精神症状をおさえる唯一、理にかなった方法であると考えられていましたが、リカバリーの筋書きにおいては、薬は、症状を減らすための、そのほかの多くの方法のなかの選択の一つでしかありません。他の方法としては、上に記したようなリカバリーの技法、方法、技能がありますし、健康に関する問題に対処する治療方法もあります。もちろん薬は選択の一つですが、服薬順守が主目的であると考えるのは適切ではないと信じています。

 

精神症状を経験する人たちは、これらの症状を和らげるための薬による副作用によって、つらい思いをしています。副作用は、肥満、性的機能を失うこと、口の渇き、便秘、極端な倦怠感、疲労感などです。私たちのように症状を経験している人たちは、自分たちが飲んでいる薬の多くは、販売されるようになってからまだ日が浅いことを知っています。そのため、長期的な副作用については誰もわかっていません。ジスキネジアが抗精神薬の副作用であると認められるまでに何年もかかっていたことを知っています。私たちは、同じように、元に戻すことのできない有害な副作用の危険があることを恐れています。私たちがこうした恐れをもち、生活の質を損なっている薬を服用をしない選択をすることを医療・保健・福祉専門職に尊重して欲しいと思っています。

 

同じ様な経験をしている人が集まると、薬に関する心配事と役に立つ代替治療法についての話しが始まります。予防法としての薬という考え方や、薬を症状に対処する唯一の方法とすることに挑戦し始める、ある種のグループとしてのエンパワーメントがおきます。一方、おおくの医師は、診断に来る人が病気のための薬を非難することを心配し、薬をやめることで症状が悪化することを恐れます。これらは、はっきりと分かれた見方になり、階層的な関係を強化します。人々は、もし医師に薬を減らすことや、やめることについて質問すると、強制入院や強制治療を強要されるだろうと感じています。医師は、症状がますますひどくなり、個人の安全を脅かすことになりかねないような、信頼の置けない考え方に人々が同意していることを恐れます。その結果、薬に関する話し合いは、医師への相談なしに行われることがよくあります。

 

リカバリーに基づいた環境においては、行動に関しての選択と自己責任に、もっと関心が寄せられるべきです。もし、薬が行動や思考をコントロールするとともに、楽しみを感じることがなくなり、やる気を感じなくさせているという不平があるならば、症状について話し合う方法を見つけ出し、症状に対処するさまざまな方法と選択肢を広げることが必要だと思います。

 

シェリーミードは,彼女にとっても他の多くの人にとっても役に立つ、洗車のイメージを作りました。

 

        もし、症状の初期のころを自動洗車の装置に向かって運転している状況にたとえるとしたら、自動装置にタイヤを置く前にまだ多くの選択肢があります。横にそれることも出来るし、車をとめることもできるし、後退することも出来ます。また、一旦、自動洗車のプロセスを始まってしまったら、自分のコントロールが及ばないと感じるにしても、この状況は期限が限られていて、のりきって最終的には出口に到達することができるのだということを自己観察により気がついています。たとえ洗車の工程で恐怖でこぶしを握り締めていたとしても、私の行動は自分で選択したことで、自分のコントロールのもとに起きたことなのです。このような過程は人々が引き金を定義し、自動的な反応を観察し、自分の防御メカニズムについて自己批判する技法を身につけ、最終的には洗車の工程をもっとうまく乗り切れるようになることを手助けします。薬は危険な状態に陥ることなく洗車過程を通過することに役立つかもしれませんが、もっと望ましい結果をもたらすために自分の技法を開発し、自分の責任を果たすことにつながる多くのより積極的な方法があります。

 

精神保健サービスに“リカバリー”の展望を用いることのリスクと効用は何か?

 

一般に“精神病”と呼ばれる感情や症状は予測することが難しいために、私たちが“調子を崩しDecompensate”(私たちの多くにとって不快な言葉です)、自分や周りの人たちを危険な状況に陥れることを医療・保健・福祉専門職は恐れています。医療・保健・福祉専門職は、もし過去に提供してきたような、世話をする、保護的といったサービスの提供を続けていなければ、人々は やる気をなくし、失望し、自分を傷つけるかもしれないと恐れます。人生経験にリスクはつきものであると認識すべきです。自分の人生をどう生きるのかについて選択を下すのは私たち自身であって、現実から私たちを守ることが医療・保健・福祉専門職にまかされているわけではないのです。私たちが医療・保健・福祉専門職に望むのは、私たちがリスクをとる能力があると信じ、私たちがリスクをとるときにサポートしてくれることです。

 

より多くの臨床家がリカバリーに基づいた環境で働くようになれば、成長しつづける人たちの努力を援助するときに得られる成功体験に根ざした、肯定的な体験から喜びを得るようになるでしょう。リカバリーに焦点をあてて、私たちのより多くがもっと元気になることによって、医療・保健・福祉専門職がさらに重い、継続する症状を経験する人たちと過ごすことの出来る時間が増え、かれらの達成できる最大限の健康を果たすために必要な集中的なサポートを提供することができるでしょう。

 

さらに、医療・保健・福祉専門職は精神症状を経験する人たちに直接サービスを提供するのではなく、彼らが自分自身のために選択を下し、前向きな行動を起こすときに、彼らの学びを助け、援助し、彼らから学ぶようになるでしょう。このような援助者は、精神症状を経験する私たちが成長し、学習し、変化する過程に同行するという報われた立場にいることに気がつくだろうと思います。

 

重い“精神病”を持つ大人のためのサービスにとってのリカバリーの展望が意味することは、多くの場合、過酷で身体に負担をかけ、懲罰的な“治療”をともなう、子ども扱いする枠組みから抜け出すことです。そして、個々人にとって、健康が何を意味するのかを一人一人と共に定義し、充実した豊かな人生を送ることを妨げているそれらの症状にどのように対処し、苦痛を取り除くことが出来るのかを共に探索することを通じて、私たちから学ぶことができるということです。

 

ケアを提供するだけではなく、人が自分の治療のコースと自分の生き方について判断を下すことを援助するのだということを医療・保健・福祉専門職が理解するにつれ、階層的な医療システムは、階層のないものへと徐々に変わっていくでしょう。精神症状を経験する私たちは、前向きに、大人としての治療のパートナーとなることを要求しています。この様な進展は、症状を経験しているひとがサービス提供者となることが増えてくるにしたがって、さらに促進されると思います。

 

精神保健サービスにとってのリカバリーの展望の利点は定義を超えたものですが、明らかに次のようなことが含まれています。

 

  

リカバリーの作業はその人自身が安全ではなく、他人にとって危険な状況を避けることを助けるでしょうか?

 

リカバリーがより多くの関心を集め、症状を和らげるために自分でできる方法をもちいることで、自分自身や他人にとって危険な状況に陥る人が少なくなることが期待されています。もし、症状がひどくなった場合に備えて、人々はクライシスプランを作っているかもしれません。クライシスプランとは、最悪の事態を避け、親密なサポーターに何をして欲しいかを指示する包括的なプランです。24時間のピアサポート電話でつながっていること、あるいは、ある種の治療に賛成あるいは反対することなどが含まれているかもしれません。サポーターと共同して作り利用すると、これらのプランは、自分のコントロールが及ばないように感じられる状況においても、コントロールを維持することに役立ちます。

 

どのような強制的な治療についても反対する動きが広まっています。私たちのどちらもこの様な危険の高い状況を経験してきましたが、強制された治療はどんなものであれ役に立たないことで意見が一致しています。強制的で望んでいない治療は、長期的には悲惨で損害が大きく屈辱的で、究極的には効果がありません。しかも、支持的で癒しをもたらすべき関係であるべきなのに、人を信頼できない状況に人々を追いやることになりかねません。すべての人が自分の行動に責任をもっており、責任を取るべきだ思っていますが、人間的で人を思いやるような手続きをつくることは、すべての人の関心事であると信じています。

 

サービス提供においてリカバリーに焦点をあてるためのガイドライン

 

次に述べる医療・保健・福祉専門職のためのガイドラインは、抵抗と無気力を減少し、リカバリーのための努力の方向性を定めて促進させることにつながるでしょう。

 

 

精神症状を経験するその人が、その人の人生の決定者なのです。たとえ最高の技術を持った医療・保健・福祉専門職であれ、誰も私たちのためにその仕事をすることはできません。あなたのガイダンス、手助けとサポートをうけて、私たちは自分でそれをしなければならないのです。

 

著者について

 

メアリーエレンコープランド、MA, MA

 

メアリーエレンコープランドは、人生の大半において重い躁と欝の症状を経験してきました。彼女の著作には以下のようなものがあります。

 

 

彼女また、Fibromyalgia and Chronic Myofascial Pain Syndromeの共著者、Coping with Depression(ビデオ)の共同制作者、Strategies for Living with Depression and Manic Depression (テープ)の製作者です。

 

これらの資料は、精神症状を経験している人が毎日生活のなかで使っている対処方法と、その人たちがどのようにして元気になり、元気であり続けているのかについての継続的な研究に基づいています。本を書きながら、彼女自身が学んだ対処方法の多くをつかって、長い期間の健康と安定を達成してきました。メアリーエレンは、精神症状を経験しているひとと彼らのサポーター向けに数多くのワークショップを提供してきました。

 

シェリー ミード、MSW

 

ミードさんは、3つの評判の高い重度精神障害を持つ人のためのピアサポートプログラムを創設し、最高責任者を務めました。研修、スタッフの技術習得、運営、管理、権利擁護、プログラムの計画と評価の領域で多くの経験を持っています。ピアサポートプログラムの開発に加えて、精神病院入院にかわるものとして、ピアが運営する革新的な一時療養プログラムを始めたパイオニアです。トラウマの生存者のためのサポートグループ、精神保健専門職と裁判官にリカバリーと親であることに関しての継続的な教育をおこなう活動の創設リーダーでもあります。シェリーは現在、他のコミュニティーでのピアサポートと専門的サービスの開発の助けをするために、常勤のコンサルタントと教育者としての仕事をしています。

 

 

メアリーエレン コープランドによるその他のエッセー

 

 

 

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